レボフロキサシンは点滴、経口で日ごろ良く処方されている薬剤の一つだと思います。
今回は、レボフロキサシンの基礎から、症例への介入ポイント3選を紹介したいと思います。
病院、薬局での症例介入の仕方がわからなくて困っている新人さん、学生さん
認定、専門の症例報告で困っている方のお役に立てればと思います。

レボフロキサシンについて
構造式・作用機序
初めにレボフロキサシンについて復習です。
レボフロキサシンはナリジクス酸を基にして開発された抗菌薬です。
構造式にフッ素(F)が入っているのがポイントです。
構造式も国家試験に出題されるようになっていますので覚えておくと良いと思います。

作用機序は、トポイソメラーゼⅡ(DNAジャイレース)とトポイソメラーゼⅣに作用して
DNAの合成を阻害します。
投与量・臓器移行性
投与量は1日1回500mgです。バイオアベイラビリティーはよく点滴、経口の投与量は同じです。
自分が実務実習をしていた頃はまだ100mg 1日3回でした。

10年くらい前だよね!
投与量がっ替わることもあるから気を付けないとね

年がばれるね、プロフで公開しているから良いけど笑
薬局実習中に疑義照会したのでよく覚えています。
キノロン系抗菌薬は1回の投与量を上げて、投与回数を減らし、最高血中濃度を上げましょう。
臓器移行性もよく、肺、尿路、骨など様々な臓器に充分な濃度が得られます。
ちなみにですが、
レボフロキサシンの投与量が国家試験に出題されているようです。

抗菌スペクトル
キノロン系は幅広い抗菌スペクトルを有しています。
特に好気性グラム陰性菌には特に有効です。
また、マイコプラズマや結核菌にも有効です。
そのため、単独で結核に投与すると、耐性化してしまいます。
キノロン抗菌薬を使うときは必ず、結核を否定しましょう。
日本はまだ結核大国です。結核を疑ったら、否定できるまで結核として対応しましょう。
レボフロキサシンは肺炎球菌に対しても有効ですので、市中肺炎にも有効です。
基礎編はこのくらいにします。
キノロン系について詳しく勉強したい方には
岩田先生の抗菌薬の考え方、使い方がおすすめです。
多くの種類のあるキノロンのうち使えるもの、そうでないものの仕分けや
実際の使い方についてまで面白く、わかりやすく解説してくれています。
それでは、本題のキノロンでの介入3選を紹介したいと思います。
酸化マグネシウムとの相互作用
レボフロキサシンをはじめとするキノロン系抗菌薬は2価の金属イオンと結合し、
消化管吸収が低下します。
せっかくの高吸収率、高バイオアベイラビリティが台無しです。
そのため、多くの患者さんが内服している酸化マグネシウムとの併用で効果減弱が起こります。
そこで、介入が必要です。
酸化マグネシウムを内服していた患者さんに対して、レボフロキサシンを使用するにあたり、
内服時期をずらすことを提案した。
患者は毎食後に酸化マグネシウム錠を内服していたため、
レボフロキサシン錠500mg1錠を寝る前の内服を提案した。

そういった事例は結構ありそうだね。

酸化マグネシウムを内服している人は多いからね。
薬局でも「便秘薬使ってますか?」と
一度聞いてみるのも良いと思うよ
酸化マグネシウムの他にも金属イオンとキレートを形成して吸収が低下します。
他にもアルミニウム(天然ケイ酸アルミニウムなど)や鉄剤(クエン酸第一鉄など)、
亜鉛(ポラプレジンクなど)でも同様です。
抗菌薬側でもキノロン系抗菌薬以外にもテトラサイクリン系抗菌薬でも同様です。
キノロン系 or テトラサイクリン系+金属は要注意です。
腎機能低下患者へのレボフロキサシン
レボフロキサシンは添付文章にあるように、腎機能低下時は投与量の減量が必要です。
Ccr≧50:500mg q24hr毎
50>Ccr>20:初日500mg、2日目以降250mg
20≧Ccr:初日500mg、48時間毎に250mg
腎機能低下患者さんへレボフロキサシンを提案する場合、
患者さんの腎機能を考慮する必要があります。
そこで、介入です。
Ccr=40ml/minの患者さんに対してレボフロキサシンが投与することになった。
レボブピバカインの投与量を初日500mg、2日目から250mgへの減量を提案した。
レボフロキサシンは尿路感染などの外来治療にもよく使われるので、
高齢者の場合は特に注意が必要です。
腎機能低下時に減量が必要な抗菌薬は多くありますので、他の抗菌薬でも同様の介入ができます。

全部覚えるのは大変だよ~

大丈夫。
たくさんあるものは、逆を覚えれば解決できることが多いよ。
今回の場合は腎機能で減量が必要のない抗菌薬を確認してみよう。
アジスロマイシン、セフトリアキソン、テトラサイクリン系、
クリンダマイシン、メトロニダゾール
リファンピシン、リネゾリドなど
レボフロキサシンの注射⇒経口への切り替え
レボフロキサシンは注射剤と経口の2種類の投与経路があります。
そして前述したとおり、バイオアベイラビリティが高いため、
剤型をスイッチするときに用量を変える必要がありません。
そこで介入です。
レボフロキサシン注で治療していた患者の末梢ルートを取るのが困難となった。
内服は可能であるため、レボフロキサシン錠の内服に変更し治療を継続した。

内服でも注射と同じ効果が得られるのはいいね

もちろんすべてではないけれどね。
点滴治療が終わった後治療を内服で行えることがある、
くらいに考えておくといいよ
また、抗菌薬に帰る場合、少なくともバイオアベイラビリティーが高いことが求められます。
ペニシリン系:アモキシシリン
第一世代セフェム:セファレキシン
第二世代セフェム:セフォチアム
キノロン系:レボフロキサシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン
テトラサイクリン:ミノサイクリン、ドキシサイクリン
その他:リネゾリド、ST合剤、クリンダマイシン
経口抗菌薬への移行は諸説ありますので、今回はこのくらいにしておきます。
少なくともバイオアベイラビリティーの低い抗菌薬を選ぶ理由はほとんどありません。
例外的に、
偽膜性腸炎へのバンコマイシンや肝性脳症に対するカナマイシンは
腸管にとどまること(吸収されないこと)を利用した方法になります。
まとめ
レボフロキサシンに絞って症例介入、症例報告できる
介入ポイントを紹介しました。
- 酸化マグネシウムとの内服タイミングをずらす
- 腎機能低下時の減量
- 経口での治療への移行
レボフロキサシンを例にあげましたが、
他の抗菌薬でも同じように考えられるパターンはあります。
日々の処方提案や症例介入に活かしてみてください。
抗菌薬についてもっと勉強したい場合は下記の書籍がおすすめです。
興味のある人はご覧ください。
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