みなさんは調剤ミスをした経験はありますか?誰もが「はい」と答えると思います。特にピッキングミスは多くの薬剤師さんが経験あると思います。そして、2人以上の目で確認している時に見つけてもらえて安心した経験はありませんか?もしも、「監査の薬剤師が見逃したらどうしよう」、「患者さんに健康被害を出してしまったらどうしよう」と不安に感じたことはありませんか?
特に、一人薬剤師の店舗で勤務されている薬局の薬剤師さん、日直当直中は一人での調剤となる病院の薬剤師さんはよりピッキングミスに神経をすり減らしていませんか?
自分は大学病院で10年以上勤務する薬剤師です。院内での調剤時の間違いでピッキングミスが多いことは知っており、改善方法について考える機会がありました。そんな中、今回ご縁で監査AIシステムEveryPickを知りました。
今回の記事は監査AIシステムEveryPickの紹介記事になります。自分がこのシステムをデモ機で体験した内容と、EveryPickを導入するメリットを紹介します。また、2023年11月に新規実装された新機能をまとめました。
EveryPickを使用した感想は、iPhone、iPadで簡単にピッキングされた薬剤が正しいか瞬時に確認できます。また、画像データとして記録することもできるので、患者さんとのトラブルを防ぐことにも役立ちそうでした。この記事を読んでEveryPickに興味があれば、ぜひ導入をご検討ください。
EveryPickはスマホ型調剤監査システム
EveryPickは調剤した薬が正しく集められたかを監査できる調剤監査システムのひとつです。事故の大前提として、「人は間違う」という考えがあります。ミスをなくすために必要なことは注意することではなく、人が行う監査を機械に代行してもらうことです。
人の気を付けるには限界があるからね
薬の集め間違いは患者さんの健康に被害を与える大きな事故につながります。そのため、取り間違いゼロを目指すのであれば、機械の力を借りるのが一番です。
ピッキング監査システムにはハンディ型や据え置き型などがあります。今回紹介するEveryPickはスマホ型です。監査システムの各タイプには以下のような特徴があります。
EveryPickはスマホ型の監査システムです。普段使い慣れたスマートフォンのカメラを使用することで、導入コストを抑えることができ、iPadと固定できるアーム等を利用することで据え置き型のように利用することも可能です。
使い慣れたiPhoneやiPadなら誰でも簡単に使えるね
EveryPickを実際に使ってみての感想
EveryPickの存在を知り、実際に使ってみたいと思いました。しかし、自分は病院のヒラ薬剤師です。導入を検討できる立場にはないので、思い切って「実機を貸してもらえませんか?」とお願いしてみました。
今回はメーカーの方のご厚意でお借りできました。
実機の操作方法
操作は非常に簡単でした。シングルスキャンモードでも、薬剤のPTPシートの背面にある「GTINコード」をカメラで読み取るだけで完了します。
iPhoneのカメラでQRコードを読むのと同じくらい簡単でした
マルチスキャンモードでは、機械が勝手に「GTINコード」を探して認識してくれるため、ハンディ型のようにバーコードを探して読み込む必要もありませんでした。
さらに、複数の「GTINコード」を同時に読み込むことができます。ピッキングした後にトレーの上に並べた薬剤を同時に監査することも可能です。
また、間違ってピッキングしている場合や完了していない場合はアラーム音で警告してくれるので安心です。
自分が実際に操作した時の動画だよ
また、人の手で処方監査をした時と比較した動画が「薬剤師カモーンTV」で紹介されています。動画でも、人よりも正確に早く監査を完了させることが出来ています。
実機を使った個人の感想
実際にEveryPickを使った感想は「とても簡単」の一言です。マルチスキャンモードでは、テーブルに並べた薬のGTINコードも機械が自動で認識してくれるためコードを探すことなく監査が完了して驚きました。
シングルスキャンでも、マルチスキャンと比較すると読み込みの手間はありますが、調剤と監査が同時に完了できるので一人調剤でも安全を確保できると感じました。
自分は職場でもハンディ型のピッキングシステムを使っていますが、iPhoneを使用するEveryPickは軽く、持ち運びも苦にならなかったです。
EveryPickのメリット
実際にEveryPickのデモ機と製品説明を聞いて感じたEveryPickのメリットをいくつか紹介します。自分が感じたメリットは以下の6つです。
それでは順番に紹介します。
監査だけでなく、ピッキングでも利用可能
EveryPickで「GTINコード」を読み取ることで監査のみでなく、医薬品のピッキングにも利用することができます。あらかじめ設定することで、端末に医薬品の棚番号を表示させることができます。
棚番号を覚えるのは大変だし、システムが誘導してくれると間違いもなくなるね
棚番号を覚える必要がないので、事務員さんがピッキングしやすくなります。さらに最近増えている派遣やフリーランスの薬剤師さんに業務をお願いする時もスムーズにピッキング作業ができます。
カメラ機能で写真を残せる
「患者さんに正しいお薬を渡せたか不安」そんなことを考えたことは薬剤師であればあると思います。また、「患者さんからお薬が足りなかった」「違うお薬だった」と言われたことはありますか?そのような時に、渡したお薬が正しかったか確認したいと考えると思います。
EveryPickはカメラ機能で画像を処方箋1枚につき10枚まで保存することができます。そのため、調剤して患者さんに渡した薬剤が正しいかをあとで確認することができます。
カメラ機能の他の用途としては、あとで患者さんの記録を作成しようとした時も、患者さんとのやり撮りの記録を写真で保存することで、時間がある時に記録を書くこともできます。
ちなみに、写真はクラウドに保管されるので端末の容量を気にしなくても大丈夫だよ。
充填確認にも使える
医薬品の事故の一つに充填間違いや医薬品の調剤棚への戻し間違いがあります。
EveryPickでは、充填確認機能が搭載されています。医薬品の「GTINコード」を用いて正しい棚に医薬品を戻せたり、装置ビンに散剤の充填、一包化の機械への薬剤充填を間違えることなく行うことができます。
一人薬剤師の店舗でも安心して作業ができるね
導入コストが安い
EveryPickのメリットには、導入コストが安いことが挙げられます。従来の据え置き型やハンディー型と比較すると一番安い費用で導入できます。
なお、具体的なコストについてはメーカーにお問い合わせください。
現場薬剤師の声で日々進化(2023年11月改訂情報)
EveryPickは実際に現場で働く薬剤師の声を聞いて日々新しい機能が搭載されています。また、随時行われるアップデートには追加費用は一切かかりません。
利用者のニーズを反映した新機能がつくのは嬉しいね
実際に2023年11月にアップデートされた内容を3つ紹介します。いずれも調剤などの業務時間短縮に役立つ便利な機能でした。今後も新たなアップデートに期待したいです。
連続モードの搭載
今回のアップデートでPTPシートの「GTINコード」を読み取る方法に「連続モード」が追加されました。従来は1つずつ薬を監査する「個別モード」と複数の薬を一度に監査できる「一括モード」の2つのみでした。
でもそれぞれにメリットとデメリットがありました。「個別モード」では読み取り時に監査できますが、一括での読み取りができません。一方で、「一括モード」では一度に読み取りができますが、全ての薬を読み取った後でしか監査することはできません。
今回導入された「連続モード」はこれらの良い点である、一括の読み取りと読み取り時の監査ができるようになりました。
いいとこ取りの「連続モード」は使いやすかったです。
もちろん、監査後にカメラも自動で立ち上がりました。
Do処方再監査機能
薬剤の種類が多い処方の場合、同じ処方内容であれば事前にピッキングして、当日監査できると調剤の時間の短縮になります。特に、人数の少ない薬局や一人薬剤師の施設では、慌てて調剤することによるミスを防ぐことにも繋がります。
これまでのEveryPickでは、事前にバーコード読取したデータを保存することはできましたが前回処方や過去処方と照合はできておりませんでした。
2023年11月のアップデートにより、過去の処方内容を参照して調剤することが可能です。もし、当日の処方内容が変更になってもその内容だけ再度読み込むことで調剤、監査を完了することができます。
調剤の時間を短縮できるし、当日慌てて調剤することもなくなるね
患者特性フラグの設定、検索機能の利用
今回のアップデートでは予製がしやすくなりました。さらに、「患者特性フラグ」の設定によって、患者さんやその処方をすぐに検索できるようになりました。
この機能により、今週中に予製が必要な患者さんをリストアップし、時間のあるときに上記のDo処方再監査機能を使って調剤できますね。
再監査機能の搭載
これまでの機能では、1度EveryPickにて監査完了した患者様を再度チェックする際には、データを削除する必要がありました。しかし、今回のアップデートではデータ削除することなく、該当の患者様の薬を再度監査することが可能となります。
この機能を使うことで例えば、医薬品をピッキングする時と監査する時、両方ともシステムの力を使うことができます。これにより、「人+システム」よりも正確な調剤と監査を行うことができます。
また、先ほど紹介したDo処方再監査機能と組み合わせることで、事前に調剤、監査した後に患者さんの処方せんの情報を用いて再監査することも可能です。
新機能を合わせれば調剤・監査がより簡単で安全になるね。
各店舗での調剤や監査の状況が把握できる
複数の薬局を経営している会社では、各店舗でどのくらい調剤が行われているか把握したいと思います。EveryPickでは本部でも各薬局店舗でも証明書を入れているパソコンであればリアルタイムで調剤情報、監査情報が確認出来ます。また、チェーン店舗での調剤の状況や誤調剤の数などの把握も可能です。
複数店舗を経営する場合に役立つ機能だね
最後にデモ機を使って、患者検索→再監査機能→連続モードでの調剤を試してみました。
機械音痴の自分でも少し練習しただけで、簡単に操作できました。
EveryPickでも対応できないこと
万能にも覚えるEveryPickでもできないことはあります。現時点では対応できないことをいくつか紹介します。
システムは「できること」だけでなく、「できないこと」も知っておかないとね
数量のカウントができない
EveryPickでは数量を認識することはできません。医薬品、規格、剤型、メーカーを「GTINコード」で認識するため間違える可能性はありません。しかし、数量を認識する機能はついておりません。
薬袋への入れ間違いには対応できない
EveryPickは薬袋への入れ間違いには対応できません。EveryPickは調剤、監査の際に医薬品の取り揃え間違いがないか確認できるシステムです。そのため、監査以降の薬袋の交差や患者さんの取り違えに対応することはできません。
しかしながら、調剤間違いで重大な事故に繋がる原因は「医薬品の種類」と「規格」の間違いです。EveryPickによって、これらの間違いを最小化できることはとても心強いです。
数量入力機能については、今後機能追加される可能性があるとのことで、楽しみですね。
EveryPick導入の流れ
EveryPickの良さを再確認しましょう。
次に、EveryPickの導入方法を紹介します。
導入までの工程はたったこれだけです。導入手続きのほとんどをオンラインでできるのもEveryPickのメリットのひとつです。お申込みから導入までは、最短で5営業日程で完了することができます。
※レセコンメーカー様のご対応が完了できていることが前提となります。
オンラインでの操作説明もわかりやすかったです。
実際に操作してみてわからないところもその場で聞くことができたので練習もできるので安心して導入できます。
興味のある方は下のリンクから公式サイトでお話だけでも聞いてみてください。もちろんお話を聞いたり、デモ機の貸し出しについてはいずれも無料です。
まとめ
今回は監査システムのEveryPickを紹介しました。
今回の記事を読んでEveryPickを導入してみたいと少しでも迷ったら、お気軽に公式サイトからご連絡してみてください。医療安全の一番重大な事故の原因になる調剤・監査のまちがいを無くして、薬剤師も安全で安心して働ける環境作りの一助になると思います。
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