若手の病院薬剤師の先生や病院薬剤師を目指す学生さんで
興味のある専門領域はありますか?
領域といってもたくさんあるから選べないよ~
専門領域の有名どころでは、がんや感染、緩和が、
他には栄養や褥瘡など様々な領域があります。
数ある専門領域で是非お勧めしたいのが感染領域です。
今回は、初めての専門領域に感染症、抗菌薬を勧める理由を紹介します。
どこの病棟、診療科でも役に立つ
なんで感染症なの?
感染症の無い病棟、診療科は無いからね
感染は診療科でも生じます。
特に、カテーテル関連感染症や肺炎、尿路感染症はどの診療科でも必ず目にします。
また、各診療科に専門の感染症もあります。
感染性心内膜炎や髄膜炎、脊椎炎などです。
しかし、感染症がありませんという診療科はありません。
精神科であっても入院している患者さんは感染症になります。
一方で、がん化学療法を考えてみます。
循環器内科でのがん化学療法、見たことありますか?
もちろん例外的に、自分は10年の薬剤師人生で、一度だけ心血管肉腫の患者さんを見ました。
例外はあり、自分は10年の薬剤師人生で、一度だけ心血管肉腫の患者さんを見たことがあります。
もちろん、専門の病院に即転院されました。
このように、感染症をしっかりと勉強すれば、
どこの診療科に行っても必ずと言ってよいほどその知識は役立てることができると思います。
薬剤師の専門性を活かせる
抗菌薬治療では薬剤師の専門性を活かせる場面は多数あります。
TDM
TDMは薬剤師が大活躍できる分野です。
抗菌薬の投与量特にバンコマイシンの設計を依頼されることは非常に多いと思います。
うんうん、よく聞かれる。
初期投与量とか、投与量の再設計とか
特に2022年にはTDMガイドラインの大幅改定がありましたので、
これからTDMを勉強すれば、最新の情報を提供でき、現場で役立つことでしょう。
薬物間相互作用
抗菌薬は薬物間相互作用の多い領域でもあります。
例を挙げると
- 酸化マグネシウムとキノロン系抗菌薬の同時内服での吸収低下
- マクロライド系、キノロン系抗菌薬による薬物代謝酵素阻害
- リファンピシンによる酵素誘導による薬効低下
- バルプロ酸とカルバペネム系抗菌薬の併用禁忌
など、薬物間相互作用による影響を考える機会は多いです。
薬剤師として、併用薬との相互作用の影響を考えた処方提案に貢献できるとよいと思います。
腎機能低下時の投与量検討
腎機能の低下時に減量が必要な抗菌薬は多く、用量設計を任せられることは多いです。
さらに、ICUや救急領域では人工透析や持続透析、体外循環など様々な状況に併せて最適な投与量を提案することもあります。
このように、抗菌薬治療において、薬剤師の得意を活かすことができるため、
しっかりと身に着けておくことで、病棟でも活躍できる可能性があります。
勉強する書籍が豊富
勉強に書籍を利用することが多いと思います。
感染症領域については、この書籍が非常に充実していると思います。
また、情報の更新は数年単位で、がん領域(半年持たない)などよりも知識は長持ちします。
認定、専門につなげやすい
感染症領域では、60~80点取れれば十分病棟で活躍できると思います。
さらに研鑽を続けることで、認定、専門を目指すことができます。
日本化学療法学会の化学療法認定薬剤師
日本病院薬剤師会の感染制御認定・専門薬剤師
それぞれ、感染症領域を極めることもでき、
認定・専門につなげることもできます。
近年多くの病院で設置されている、ICTやASTでも活躍できることができるでしょう。
まとめ
以上の理由より、自分はまず初めの専門領域として感染症をお勧めします。
60点取れるだけでも十分ですので、初期治療の考え方や調べ方を身に着けるだけでも十分な成果になると思います。
まずは初めの一歩を踏み込んでみて、少しずつできることを増やしていくとよいと思います。
また、病院には感染症を専門にしている薬剤師がいると思うので、その方に聞いて勉強していくのでもよいと思います。
是非、正しい知識を身に着け、実践していきましょう。
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