薬剤師レジデント、その気になるメリットとデメリット3選

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みなさんは「薬剤師レジデント」について聞いたことがありますか?「制度は聞いたことがあるけどよくわからない」「どんなことを学べるのか気になる」「実習にきた学生に聞かれたけどよくわからない」と困ったことはありませんか?

自分は実際に薬剤師レジデントを経て病院薬剤師になりました。また、その後も薬剤師レジデントの教育や指導、評価に関わった経験があります。

薬剤師レジデントは病院薬剤師になりたい方や認定専門薬剤師を最短で取得したいと考えている薬学生の方にはおすすめできる制度です。一方でそもそも病院薬剤師になる上で必須ではないのでデメリットについても知っておく必要はあります。

この記事では、薬剤師レジデントのメリットとデメリットを紹介します。そのことはこれから進路を選択する上で重要な考え方の一つになると思います。自分は薬剤師レジデントをほぼ何も考えずに選択しました。もちろん後悔はなく、今の自分を構築する上で重要な経験を得ることができました。一方で、当時知っていれば選択肢が変わった可能性もあります。

この記事を読んで、薬剤師レジデントについて考えるきっかけになれば幸いです。

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薬剤師レジデント制度とは

薬剤師レジデント制度は10数年保護前から大学病院や専門病院で始まった薬剤師版の研修医制度です。薬剤師は医師と異なり、卒後いきなり薬剤師として働くことが可能です。しかし、大学の教育では病院での実際の臨床現場での研修は2.5ヶ月しかなく十分な指導を受ける機会がないため、その補完と病院で勤務するための基本的な考え方や技術を学ぶために始まりました。

現在は約30施設で募集が行われており、今後も拡大する可能性があります。詳細は日本薬剤師レジデント制度研究会のホームページでお知らせしているので、興味のある方はご確認ください。

日本薬剤師レジデント制度研究会 | the Japanese Society of Pharmacy Residency Program

薬剤師レジデントを経験することは多くのメリットが得られる一方、医師とは異なり必ず薬剤師レジデントを経験する必要がないことに加え、デメリットもあります。今回は薬剤師レジデントのメリットとデメリットについて紹介します。

薬剤師レジデントのメリット3選

薬剤師レジデント制度を利用することには以下のようなメリットがあります。

薬剤師レジデントのメリット
  • 病院薬剤師の業務を体系的に学べる
  • 専門領域の研修を受けられる
  • 年の近い先輩や同期がいる

順に説明していきます。

病院薬剤師の業務を体系的に学べる

薬剤師レジデントのメリットに、卒後1〜2年目の早い段階で病棟の勤務を一通り経験することができます。調剤や注射せんの取り揃えや処方鑑査をはじめ、薬務、医薬品情報などの中央(調剤部門)業務を経験すれば病院での医薬品の動きを理解できると思います。

また、病棟で実際に患者さんの薬物治療に関わることができます。実際に医療チームの一員になって患者さんの薬物治療に関わり、直接先輩薬剤師の指導が受けられる環境は貴重です。薬物治療のみならず、医師への処方提案の方法、患者さんとの関わり方について指導をうけることで、病院薬剤師としての基礎の部分を固めることができます。

また、2年間で病院薬剤師の基礎を学べる点は就職活動でも有利なポイントになります。レジデント修了後に改めて他施設の就職試験を受ける際には臨床経験があることは大きな強みになります。

ダイナ
ダイナ

知人の話では、就活の際に薬剤師レジデント修了の経験が大きく評価されたそうです。

専門領域の研修を受けられる

薬剤師レジデントでは認定、専門薬剤師になるための研修を受けられる施設があります。薬剤師にはがん領域や感染、緩和など様々な専門薬剤師制度があります。これらの専門を取得することで自身のキャリアアップや転職でも有利になります。

専門薬剤師になるためには、研修施設での勤務または研修が必要になる場合があります。薬剤師レジデントの間に自分の取得したい研修施設で研修できることは大きなメリットです。また、レジデント制度の中にはこれら専門薬剤師になるための症例集積や学会発表に関する指導や経験をすることができます。

自分が将来取得したい認定、専門薬剤師がある場合、早い段階で専門の研修や実務ができる施設を選ぶことも選択肢に入れましょう。

ダイナ
ダイナ

病院で臨床現場にいられるのは10〜15年くらいです。認定、専門を取得するなら一年でも早く動くことがおすすめです。

年の近い先輩や同期がいる

最後のメリットには薬剤師レジデントを採用する施設には必ず年の近い先輩や同期がいることです。薬剤師レジデントを募集する施設は教育体制がしっかりしているだけでなく、薬剤師の人数も多い施設がほとんどです。そのため、昨年度の薬剤師レジデントを経験した先輩が同じ施設に残っている可能性が高いです。

また、社会人1年目においては特に同期の存在は大きいです。わからないところを補い合ったり、得意分野を教えあうことで互いの知識や技能を高めることができます。何より精神面で大きな支えになると思います。

ダイナ
ダイナ

同期の存在は本当に貴重ですね。新人時代の話で10年たった今も盛り上がっています。

小括

薬剤師レジデントのメリットは以下の3つがあります。

薬剤師レジデントのメリット
  • 病院薬剤師の業務を体系的に学べる
  • 専門領域の研修を受けられる
  • 年の近い先輩や同期がいる

これらのメリットを受けることができるため、自分で学習計画を立てるのが苦手な人や、認定・専門薬剤師を最速で取得したい人、一人では心細いと感じる人にとってはおすすめです。

薬剤師レジデントがおすすめの人
  • 自分で学習計画を立てるのが苦手な人
  • 認定・専門薬剤師を最速で取得したい人
  • 一人では心細いと感じる人

一方で、自分で計画立てて行動ができるのであれば、薬剤師レジデント制度を利用するメリットは小さいと感じます。周囲から与えられることなく、目標に向かって行動できるのであれば一般職員として入職して自分のやり方で進んでいくことで目標を達成できると思います。また、そのような方にレジデントがあまり進められない理由に薬剤師のレジデント制度には次に紹介するようなデメリットが考えられるからです。

薬剤師レジデントのデメリット3選

薬剤師レジデントにもデメリットがあります。良いことばかりに目を向けるのでなく、デメリットにも目を向けて考える必要があります。今回取り上げるデメリットは以下の3つです。

薬剤師レジデントのデメリット
  • 給与が安い
  • 修了後の就職が未確定
  • 研修プログラムにばらつきがある

順に説明していきます。

給与が安い

薬剤師レジデントのデメリットに必ず上がるのは給与の安さです。薬剤師の初任給を就職先別に比較しました。

薬剤師の職種と給与

ドラックストア:月30万円、年収350〜450万円

調剤薬局:月22万〜30万円、年収300万〜420万円

病院:月20万〜25万円、年収300万〜350万円

病院薬剤師の給与は元々低いと言われています。

でも、薬剤師レジデントの給与についてはさらに安いことは把握していましたが、現状はよくわかりませんでした。そこで、フォロワー4,500人のX(Twitter)運営者である点を活かして、アンケートをとってみました。

結果はご覧の通りです。薬剤師レジデントの多くの給与は月20万円未満のようです。中には月20万円を超えるところもあるようですが逆にそれ以下の施設も少なく内容です。また、月20万以上の給与がもらえる施設では勤務>研修となる傾向が高いようです。

ダイナ
ダイナ

一方で、給与が安いから研修内容が充実しているということはないそうです(残念)

さらに施設によっては、交通費や家賃手当などの支給がないため、実質の収入はさらに下がる可能性があります。

支給されない可能性のあるもの
  • 交通費
  • 家賃手当
  • 残業代など

薬剤師レジデントは研修を受けるために年間で30〜50万円の研修費用を払っていることになります。そのため、年間その金額を自己投資していると考えましょう。レジデント期間には、しっかりと知識や技術を身につけることを意識しましょう。

修了後の就職が未確定

薬剤師レジデントの期間は1〜2年です。その後の進路は施設によっては同じ施設で継続して勤務することが可能です。一方、同じ施設に残ることができない場合もあります。その場合、改めて就職活動をしなければいけません。薬剤師レジデントの2年目の上旬に研修を受けながらの就職活動には苦労もあります。

また、同じ施設に残れたとしても正規職員とは限りません。正規職員の枠があくまでの非常勤での雇用となる施設もあります。その場合、給与体系が薬剤師レジデントと同じまたは正規職員よりも低賃金の可能性があります。

ダイナ
ダイナ

薬剤師レジデントに応募する際は卒業生の修了後の進路について聞いておくことをおすすめします。

研修プログラムにばらつきがある

薬剤師レジデントのプログラムは施設ごとに特色があります。そのため、施設によっては体系的に薬剤師の業務を学ぶことができます。一方で、立ち上げから期間が短い施設や指導者が不足している施設では満足できる研修が受けられない可能性があります。

また、研修内容が多く、自分が望んでいない内容に時間をかけて取り組まなければいけない可能性もあります。

ダイナ
ダイナ

もちろん広く浅くが悪いことではないけど、やりたいことが決まっている人には合わないこともあるようです。

そのため、自分がどのような研修を期待しているのかを考え、検討する施設がどのような研修を行っているのかを確認する必要があります。いずれの場合も、経験者の意見を聞くことは有用だと考えます。

そしてもう一点、これは自分に対して言い聞かせていることです。

自分たちは「薬」に関して6年間勉強していました。しかし、「教育」に関しては卒業後に独学で学ことになります。小中高の先生方は「教育」について4年間学んだプロです。一方、自分を含めて病院の薬剤師さんは教育はあくまでもサブの仕事になります。そのため、施設の教育指針や教育プログラムがあったとしても、教育方法や指導方法には個人差が出てしまいます。指導者に任せっきりになることなく、自身で学ぶ姿勢を持つことが大切です。

逆に薬剤師になたあとは、教育についても自己学習しておけば、大きな武器になると思います。

小括

薬剤師レジデントのデメリットは以下の3つがあります。

薬剤師レジデントのデメリット
  • 給与が安い
  • 修了後の就職が未確定
  • 研修プログラムにばらつきがある

いずれも、自分が何を目的に薬剤師レジデント制度を選択するのかはきちんと考えた方が良いと思います。これらのデメリットを受けるため、若いうちからしっかり稼ぎたい人、希望する職場が決まっており、レジデント制度をやっていない、自身で計画的に学習計画が立てられる人にとってはあまりおすすめできない可能性があります。

薬剤師レジデントがおすすめの人
  • 若いうちからしっかり稼ぎたい人
  • 希望する職場が決まっており、レジデント制度をやっていない
  • 自身で計画的に学習計画が立てられる人

薬剤師レジデントを選択する上で大切なこと

最後に、自分が薬剤師レジデントを検討する上で大切と考えることを紹介します。それは、自分が何をしたいのか?そのためにどのような経験が必要かです。

例えば、がん専門薬剤師に最短でなりたい場合、がんセンターの薬剤師レジデントになるのは目的と行動が一致しています。また、様々な領域での勤務経験を早いうちから得たいと考え、複数の病棟での実務経験が得られる病院で研修を行うのも問題ないと思います。

ダイナ
ダイナ

就職や転職を含めて「なんとなく」や「消去法」で自身の大切な進路や就職先を選ばないようにしたいですね。

まとめ

今回は、自分が考える薬剤師レジデントのメリットとデメリットを紹介しました。

薬剤師レジデントのメリット
  • 病院薬剤師の業務を体系的に学べる
  • 専門領域の研修を受けられる
  • 年の近い先輩や同期がいる
薬剤師レジデントのデメリット
  • 給与が安い
  • 修了後の就職が未確定
  • 研修プログラムにばらつきがある

薬剤師レジデントを考えている方や学生さんに相談された時の参考になれば幸いです。進むべき方向に迷った時は自分がどうなりたいのか、そのためには何が必要なのかを必ず考えてみましょう。

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