症例報告を書いたことはありますか?
症例報告は職場や学会での発表の際や、
認定・専門の申請をするうえで必要となります。
今回は、症例報告の書き方がわからない、
わかりやすい症例報告を書けるようになりたい、
そんな方のお役に立てるよう、まとめました。
症例報告の目的
認定・専門申請のために必要な症例報告の目的についてです。
この場合の目的は、
「自分の介入した内容がわかりやすくまとめてある」
より端的に説明すると、
「自分の介入内容をアピールする」
になります。
つまり、患者さんの経過だけをまとめるのでは不十分ということです。
自分の提案した内容をまとめるのが大切なんだね
認定、専門では、特に大切です。
自分が認定・専門を名乗れる介入ができることの証明になります。
症例報告の構成
症例報告の例を提示します。
自分が化学療法学会の
抗菌化学療法認定薬剤師の申請に使ったものだよ
症例報告の構成要素は以下の通りです。
初めは、箇条書きで以下の要件を書き出すところから始めるのもよいと思います。
患者背景
初めにどんな患者さんかをまとめましょう。
どんな症例報告でも、年齢、性別、体重は必要です。
どんな患者さんかをイメージするための情報ですね。
ここでは最低限の患者情報が必要になります。
注意点を挙げるとすれば、個人情報は決して書かないようにしましょう。
現疾患の経過
介入する患者さんの現疾患の背景の情報を記載しましょう。
介入に関連する既往歴って?
例えば、腎機能を考慮する疾患であればCKDや透析の導入の有無だね。
鎮痛薬の介入であれば、喘息の有無とかがそれにあたるね。
例に挙げた症例では、主訴はありませんが、
痛みや不眠など患者さんによる評価の伴う疾患は記載したほうがよいです。
また、初回導入での介入なのか、治療開始後の介入なのか、もきちんと記載しましょう。
特に、治療開始後の介入では、どのタイミングで介入したかが大切です。
例に挙げた症例では、介入は処方が出され、1日目の治療が行われた後の介入になります。
問題点
ここでは介入が必要な理由を明示しましょう。
問題点を明らかにすることで、介入内容につなげやすくなります。
例に挙げた症例では、
酸化マグネシウムを内服している患者さんにレボフロキサシンが同時投与されたことが介入理由です。
介入の根拠
介入には必ず理由があるはずです。
誰も、なんとなくで介入はしませんし、そもそも受け入れられません。
「いつもの処方」や「病院のプロトコールに従っては」NGワードです。
自分で考えていないことがバレバレです。
ガイドラインや添付文書、治療指針など、しっかりとした根拠を持った提案をしましょう。
学生実習でも大事だね。
よく指導薬剤師の先生に「根拠は?」って言われるよ。
うれしいけど、「ダイナブログです」
ってならないようにね。
きちんと裏どりをする習慣をつけましょう。
例に挙げた症例では、
酸化マグネシウとレボフロキサシンはキレートを作り、吸収が低下するからです。
添付文書にも記載のある事実です。
介入内容
ここが一番のアピールポイントです。
自分がどのような提案をしたのかを具体的に記載しましょう。
一般的に認定や専門の症例報告では、医師への確認や疑義照会は不十分とされています。
それは専門家としての意見でなく、
薬剤師の通常業務の一部として見られるからですね。
そのため、自分の”提案内容”をしっかりと記載しましょう。
薬剤名や投与量、投与方法、具体的な観察項目、投与期間などが記載できるとよいでしょう。
日ごろの介入の時にも意識すると段違いに良い介入になるよ
例に挙げた症例では、
レボフロキサシンの内服時期を酸化マグネシウムを内服していない昼に移したことですね。
これにより、キレート形成は防止できました。
結果
最後に結果です。
介入後の治療はどうなっかた記載しましょう。
問題点は解決できたのか、治療は終了したのかです。
介入しっぱなしにならないように気を付けよう
症例報告のというよりは臨床としてもだね。
問題が解決しない、または新たな問題点が出てきた場合は
改めて介入をやり直す必要もあるからね。
例に挙げた症例では、
14日間内服して、治療終了になったです。
まとめ
症例報告の構成要素は以下の6つです。
初めのうちは、いきなりまとめるのが難しいと思うので、
一つずつ箇条書きにするところから始めるのがおすすめです。
目指したい認定・専門薬剤師によりますが、これらの項目をしっかりと満たしていれば、
落とされるようなことは無いと思います。
自分もこれまで3回の認定で症例報告をしましたが、いずれも合格しました。
是非、認定・専門薬剤師を目指して、症例報告の作成を頑張ってください。
なお、今回例に挙げた症例は
自分が抗菌化学療法認定薬剤師に使用した症例報告です。
この認定にい興味があれば過去記事をご覧ください。
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